端財アップサイクル講座についてabout upcycle

端財アップサイクル講座を終えて

私自身が自社内のデザイナーの人材育成にとても苦慮しています。
というのも最近の傾向として、考えないデザインが巷に蔓延っているからです。
デザインとはそもそも "設計" という意味。考えぬいてこそのデザインなのです。

最近のデザイン環境は大きく変化しており、今ではパソコン一台あれば十分、ネット環境の中で素材集、テンプレート、デザイン資料、デザインサンプル・・等、何もかもが揃ってしまう。あとはそれを組み立てるだけ。
デザイナーがアセンブラー、レイアウター、ディテイラーになってしまう。
残念なことですが、快適なデザイン環境が逆に、処理的業務に繋がってしまうのです。

そのような中で今、アナログ的思考がとても重要になってきたと感じています。
この端財アップサイクル講座では、本来処分すべきマティリアルを前に常識的概念を捨て、新たな用途、製品開発にチャレンジしました。
それもプロのデザイナーの皆様と共にです。
端材が付加価値を生み出す瞬間を体感できる機会を創出していきました。

プログラムの流れは大きく8つ

  • ①オリジナルの名刺をつくり、交流機会を創出する
  • ②ものの見方、考え方を変える
  • ③端材の現状を知る
  • ④手を動かして考える、足を使って具体化していく
  • ⑤プロフェッショナルとの交流(マッチング)
  • ⑥加工工場とのマッチング
  • ⑦撮影、販促プロモーション
  • ⑧リアリティのあるプレゼン、交流の場を提供する

参加学生11人に対し、12人のプロのクリエーターの方にご参加いただき、学生さんとタッグを組んでいただきました。
通常の業務においても、全くの初対面からコラボレーションして行くことは難しい要求なのですが、今回ご参加いただいたクリエーターの方々には快く引き受けていただきとても感謝しております。
端材アップサイクル・・これまで全く経験の無い事、考えたこともなかった事を頭をフル回転させて試行錯誤する半年間は、学生さんにとってはとても負荷が高いプログラムだったようでした。(後の感想でなおさら深く認識しました)
もちろん、選んだ端材、作りたいもの、パートナーのクリエーターさんの進め方によってもその負荷は多様で、一方、クリエーターさんにしても、どの段階でアドバイスしたらいいのか、どこまでアドバイスすべきか、かなり迷われたそうでした。

それぞれの作りたい物がはっきりとしてきてからは、クリエーターさんがとても上手にアテンドをされており、学生さんに安堵の表情が見えるようになりました。ものづくりの楽しさも実感できたようです。
でもこの講座の真骨頂はこれからです。
そのプロダクトに、値段をつけて売るという一大行事が待っているのです。

実は今回は値付けのプロセスまでしっかりと講座の中に落とし込めなかったのですが、プロの方といっしょに "売る" という意識を共有して、製品の出口を見出して行く事が、とても重要なことだと感じました。
後半になるほど、学生さんの出席率も高まり、とても講座が活発化してきました。
本気でやるからこそ楽しく、またクリエーターさんの配慮で、たくさんの名刺を配る機会が生まれてきたようでした。

製品撮影も、学内懐徳堂に簡易スタジオを設置してプロに依頼しました。
何人かの学生にはモデルとして製品に絡んでもらいイメージ撮りを行いました。
端材をアップサイクルした本人が主役となるのです。
作った製品、そして自分自身がレンズを通して変化していく様を実感してもらいました。

今回、作られたプロダクトは、"etsaw" というブランドでホームページを開設し、今後は、実際に販売できる製品も生み出して行きたいと思っております。
産学連携のプログラムの中で、出口の見える仕組みを構築して行きたいと思っております。

最後にこのプログラムにご協力をしていただきましたクリエーターの皆様、端材を提供いただいたものづくり企業様、ご無理なお願いを聞いていただいた加工工場様そしてこのような機会をいただき、優しく見守っていただきました大学関係者様とても感謝しております。ありがとうございました。

端財アップサイクル講座 企画・運営担当
株式会社レイ・クリエーション
代表取締役社長  原田徹朗

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